(新)笑いまみれ・はなこば日記

笑うことを積極的に考える女の日記  旧ブログ→http://blog.goo.ne.jp/hanakoba0506

火花

一週間、お休みしておりました。

一週間の間に読みました。
又吉直樹芥川賞作品『火花』。

言っておきますけど、芥川賞をとったから読んだわけではないのですからねっ。
むしろ受賞したと聞いて二の足を踏んだ。
受賞したから読むというミーハー人間に思われたくない。
実際はもちろんミーハーな人間であることは間違いないのですが、ひとからそう思われることが嫌なんです。
自意識が過剰なわたくしですが、受賞前に信頼できるお友達たちが「今までの芸人本とは全然違う。抜群に良い本」と教えてくれたので、それならば読む気になった。

それで読んだならば、感想を書かなければ、と思ったのですが、わたし読書感想は本当に苦手です。
なぜならバカがバレる。
漢字読めないとか難しい単語分かんないとかすぐ言う。
そのくせ、粗探しするくせがついていて、すぐ嫌なこと言う。
ゆえに嫌われる。
損するから読書感想文は苦手。

でもやっぱり読んだから言いたいことある。

そんなわけで、バカが何か言ってると思って流してください。

この本は師弟関係を結んだふたりの芸人の青春小説。だということです。
季節がびゅんびゅん流れていく中で、ふたりの状況が変わっていく。
主人公の後輩芸人の目線の一人称で、先輩とのできごとがつづられていきます。

描写。
それから人物像。
これを書いた人はものすごい色んなことを知ってるのだなと思いました。
言葉の多様さもそうだし、観察眼もすごい。すごい見てんな。人のことやいろんなことを。
細部までこだわったように思える描写。
途中で「・・・漢字多いな・・・」って思ったよ。
ただ作者がこういうことを見て考えていたんだって分かって、又吉さんの内側を少しのぞいたようで、興奮しました。
というのは、芸人の精神性がすごく長く書いてある。神谷という先輩を使って、セリフの中に「芸人とはなんとする」ということが長々書いてある。

ふうん。そうかそう思ってんのか。

と思うのと同時に、長い!長いよ!どんだけ話すんだ。
しかも難解。
バカのあたしは途中で見失った。
理解するのに疲れた。と言ってもいい。

そういえば和田アキ子さんが「純文学を感じない」と言って非難された話がネットニュースに載ってたけど、そんなに「批判が殺到」するほど悪いこと言ったのかな?と思う。
もともと軽率なことを言う人だけどさ、あのひとは。
批判したひとは全員本を読んだのかな。

賞をとったことと、自分とその「本」の関係性はまったく別のものだと思う。
どんなに世界中のひとがその本が素晴らしいと言っても、自分が理解できなかったらそのひとにとってその本は価値のないものだ。
逆もしかり。
誰もがクソだという本を、ただひとり「良い」というひとがいればその本は価値のあるものだ。

本はみんなで一緒に読むことができない。
朗読とかあるけど、それはまた違う次元だから。
物質としての本はとても個人的なものだ。本とたったひとりの自分との対峙である。
だから読んだ人はどんなことをその本にしても言ってもいいと思ってる。読んだら1ページごとに食べたっていいんだ。
偏った意見ですけど。

ひとの感想を批判するひとは、本のなんたるかが私と意見が違う。純文学を感じなかったならそれでいいじゃん。
きっと受賞のニュースのあとに、それ今言う?ってことなんだろうな。
ネットニュースの拾い方が下手なんだろうな。

さて、物語の後半は少し目頭熱くなるような展開があるんですが、そこが「青春小説」と言われるとこなんだろうな。
小難しい展開はなし。
さっぱりしてる。すこしくすぐったい。ロマンチストなのかもしれない。

ピースのコントを思いだした。

結局読んでどうだったのかというと、良かった。

そもそも芸人さんの書いた本や芸人さん関連の色々な創作物にはあんまり興味がない。
だって面白いの?
笑えるものじゃなきゃ、時間の無駄だと思うから。
わたしは芸人さんは好きだけど、まず大前提として面白いものじゃなきゃって思ってる。
芸人さんの多才さとか知らないのです。才能見せつけられたところでなんともない。
面白いかどうかだよ。

その点を鑑みて、『火花』は又吉さんのいいところが出てた。
時間の無駄を感じなかった。